分かち合い

東京から熊本までの飛行機の中でのできごとでした。

「ただいま真下に富士山がご覧いただけます」

機内アナウンスでそう言った機長は、
ほんの10秒ほど、
富士山側に
機体を傾けてくれました。

そのおかげで
富士山側に座っていた人もそうでない人も、
座席の小さな窓から
真っ白に雪化粧をした、
それはそれは見事な富士山をまるごと堪能することができたのです。

機長は、操縦室から見た、その富士の眺めを独り占めしませんでした。
わたしたちに、気前よく、分かち合ってくれました。

機体がもとの角度に戻ろうとするとき、
わたしは、知らないあいだに泣いていました。

機長の分かち合いの心が、
無防備だったわたしの心にビュンとやってきて、
被曝しちゃった、という感じでした。
そう、ほんとうのことに、触れた瞬間だったのです。

わたしたちの本質は、分かち合いです。
それをせずにはいられないのが、
わたしたちなのです。

いつも、心で見たものを周りの人と分かち合っていられますように。

機長が見せてくれた富士山は
こうして
新しい年の、
わたしの祈りの言葉となりました。

 

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